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『不器用な鍛冶屋』
2006/03/26(Sun)
さてさて、予告したとおり、今回のROショートストーリーはとある鍛冶屋見習いのお話。ちなみに1/4くらい実話です。



ROショートストーリー『不器用な鍛冶屋』



「痛ってええええええぇぇぇぇっ!!」

(……またか)

私はいつもの叫び声のせいで目が覚めた。ベッドの棚に置いておいた眼鏡をかけ、ハンガーにかけていたコートを羽織り、家の裏口から外にでてすぐ横にある工場のほうへと足を向ける。まだ朝早いせいか、少し肌寒い。辺りもうっすらと明るくなり始めた頃だ。

私が来ることがわかっていたらしく、これまたいつもどおり親方さんが工場の入り口で待っていた。


「レイチェルさん、すいません毎朝毎朝…」
「また今日も…ですか?」
「面目ねえ」


親方さんは何度も謝ってくれた。だが別に私は謝ってほしくて来たわけじゃない。そもそも、悪いのは親方さんじゃなくて、『あいつ』だ。

一通り謝った後、その『あいつ』を親方さんが呼びつける。


「おい、クロイツッ!!いつまでんなとこに座ってやがる!!さっさと出てきてレイチェルさんに謝りやがれっ!!」


すると、工場のほうから『あいつ』が出てきた。親方さんと同じ鍛冶屋の服装だが、親方さんに比べると今風の格好だ。おしゃれというか、かっこつけというか...。


「痛てて……あ、わりぃ、また起こしちまった?」


『あいつ』は自分の指をさすりながら、さして悪く思っているとも聞こえない言い方で私に話しかけた。


「毎朝修行に熱心なのは結構ですけど、周りのことも考えてもらえませんかねぇ」
「わりぃわりぃ、ほんと今日で終わりだからッ!ねっ、だから勘弁して!」


またこれだ...私は心底あきれた。毎朝彼の叫び声が聞こえる度に工場を覗きに行き、そして同じことを言われる。そして未だ彼の叫び声が聞こえない朝はない。もうかれこれ2週間ほどこんな調子だ。


「レイチェルさん、本当にすいません。こいつはまだ半人前なんで、どうか勘弁してやってください」


そしていつもひたすら謝り続ける親方さんが気の毒で、私はそれ以上何も言う気になれず、ため息をついて家に戻るのだ。

そんな私の名はレイチェル。職業セージ。平日はプロンテラ図書館で司書の仕事をしている。将来はジュノーのセージキャッスルで働くのが夢だ。

2週間前まで、私の朝はとても静かで平穏だったのだが、2週間前に『あいつ』が住み込みでとなりの工場にきてからがらりと変わった。毎朝彼の叫び声が聞こえるせいで私は目覚めてしまう。

『あいつ』というのはさっきの見習い鍛冶屋。名前はクロイツ。2週間前に私の家の隣にある工場の親方のところに鍛冶屋の修行のため弟子入りしたらしいが、これがまた半人前らしく、毎朝毎朝失敗ばかりしている。今日は自分の指を金槌で打ってしまったらしく、指が少し腫れていた。そして、あまりの痛さの余りに毎朝ああやって叫ぶというわけだ。



おかげさまで、私はこの2週間一度も寝坊をせずにすんでいる...。







ある日、私は久しぶりに街の外へ狩りにいくことにした。その日は司書の仕事は休みで、せっかくの休日なので外に出ることにしたのだ。人間、頭ばかりよくても実際に動けなければ意味がない。そのためには修行も必要だ。

…というのは建前で、本当は静かに読書でもして過ごしたかったのだが、家にいると隣から例の叫び声が聞こえてくるのがわかりきっているので外に出ただけである。

必要なものをもって、私はオーク村へとやってきた。ここにはダンジョンもあるが、私は外で狩りをする。風が気持ちいいし、よく晴れたこんな日にはやっぱり外で狩るのがいい。

ただ、私が狩っているのは東地区だ。西地区には東地区よりも危険な敵が多いため、今の私では太刀打ちできない。

オーク達を私のスペルでなぎ倒していると、お昼近くになった。なので、木陰に入り、少し休憩することにした。

家で作ってきたサンドイッチを食べている途中、ふと見たことのある人間の姿が見えた。


(あれ、今のって…あいつ?)


そう、私が見たのはあの毎朝叫び声で近所迷惑になっているあの見習い鍛冶屋のクロイツだ。クロイツはこちらには気づいていないようで、さっさと森の奥へと入っていった。


(あいつ、一人であんなところいったら危ないじゃない!)


私は食べかけのサンドイッチをしまい、すぐさま立ち上がって彼の後を追いかけた。彼の姿は森の奥に消えてもう見えない。

私も仕方なく薄暗い森の中へと足を踏み入れる。

追いかけてる途中、私はオークに見つからないか心配だったが、幸い一度も遭遇することはなかった。

だが、彼はいっこうに見つからない。それどころか、私はますます森の奥深くへと入り込んでいる。本当に彼がこんなところまで一人でくるだろうか。そもそも、あんな半人前の鍛冶屋じゃこんなところまでくるのは命取りだ。

きっともう戻ったのだろう。そうに違いない。

私は追いかけるのをやめ、元来た道を戻ろうとした。

だが、その直後、私の背後でがさっと何かが動く音がした。びくっとして私は振り返る。しかし、何の姿も見えない。

そう思った次の瞬間、草むらの影から何かが飛び出した。


(…!)


それはオークだったが、ただのオークではなかった。青い肉体に、通常のオークよりも鋭い牙。


(ハイオーク…!?しまった、まさか西地区に!?)


そう、気づかないうちに私は西地区に足を踏み入れてしまっていたのだ。

ハイオークは一匹ではなかった。その奥から数体のハイオークが次々と出てきて、中にはオークアーチャーも混ざっていた。


(何これ…こんなの勝てるわけないじゃない!?)


私は一目散に逃げ出した。だが、オークたちもものすごいスピードで追いかけてくる。

不意にオークアーチャーが放った矢が私の足に突き刺さる。私は足がもつれ、その場に転倒した。

その間にオークたちはどんどんと距離を縮めてくる。逃げようともがくが、矢の突き刺さったほうの足が言うことをきいてくれない。

もうダメだ…私はセージキャッスルをこの目で拝むこともなく、オークたちに殺されるんだ。そう思って死を覚悟した。目をつむり、オークたちがおたけびをあげながら斧を振り下ろすのを待った。






だが、その場に響いたのはオークたちの雄叫びではなかった。私がここ2週間、毎朝うんざりするほど聞いていた、あいつの叫び声。


「そのまま伏せてろッ!!!」


その声が聞こえた直後、私の頭上を彼の斧が通過していく音が聞こえた。そして近づいてきたオークにヒットしたらしく、先頭に立っていたオークが仰向けに倒れるのがわかった。他のオークたちも動揺したのか、歩みを止めた。


私は少しして目をあけた。視界にはあいつの足が写っていた。


「あんたは確か…毎朝うちの工場に来る…って、その怪我!?」


向こうも私のことに、そして足の怪我のことにも気づいたらしい。


「あいつらにやられたのか?」
「え、ええ…」


クロイツはカートから別の斧を取り出し、私とオークたちの間にたった。


「お前らの相手は俺がしてやる!!来やがれ!!」


私は慌てて彼を止めた。


「ちょ、ちょっと、待ちなさい!!あなたみたいな半人前じゃ、あいつらの相手なんて無理よ!早く逃げましょう!」
「その足じゃあんたは逃げれないだろ!?女を置いて逃げるなんて男の恥だ!」


それだけいうと、彼はオークたちに立ち向かっていった。半人前の鍛冶屋な彼じゃ、オークたちに殺されてしまう…私はそう思った。

だが、違った。彼はとても強かった。オークたちを次々となぎ倒し、なおかつ余裕も見せている。あれがホントに半人前の鍛冶屋なのだろうか。少なくとも、私が予想していたよりもはるかに強い。

そのせいで、それからすぐ、オークたちは一掃された。






「あなた、製造BSじゃなかったの?」


帰り道、足を怪我した私を背負ってくれている彼の背中に向けて尋ねた。彼は軽くうなづいた。


「ああ、製造BSさ」
「じゃあ、なんであんなに強いのよ」
「製造BSが強かったらなんかまずいことでもあるのか?」


私は腑に落ちなかった。なんだか製造BSに助けられた自分が惨めな気がして仕方がなかった。別に製造BSを否定してるわけでもないけど、こいつに助けられたのが悔しくて仕方なかったのだ。


「だって…毎朝失敗ばかりの半人前の製造BSに助けられたなんて…かっこ悪くて言えないじゃない…」
「そりゃ悪かったね、半人前の製造BSで」


言ってから私は「しまった」と思った。私を助けてくれて、しかも街までおぶってくれている彼の機嫌を損ねてしまっただろうか。そう思うとますます自分がいやになる。

だが、彼が次に言った言葉は、私にとって意外だった。


「俺だって恥ずかしくて言えるかよ。製造BS目指してたのにステ振り失敗したなんて…」
「え…?」
「誰にも言わないでくれよ!」


今度は彼のほうが顔を少し赤らめた。

その後、帰路の道中で私は彼から自身の事を聞いた。製造BS志望で修行していた彼だが、商人時代どのステータスをあげていいかわからず、とにかく力や耐久値を鍛えていたらしい。おかげで製造に必要な「器用さ」はほとんど鍛えることなく、今にいたるというわけだ。


何も調べずに製造BSを目指すあたり、彼らしいといえば彼らしいが、それでも彼は製造BSになることを諦めていないらしい。私は理由を聞いた。


「たしかに、1からやり直せば立派な鍛冶屋になれるかもしんないけど、俺は今の自分が好きだからさ」


なるほどね、たしかにこいつらしい単純な思考だわ。でもまあ、それがこいつのいいところなのかもしれない。

なんてことを考えてたらなぜか恥ずかしくなってきた。何を考えているのだろう、私は。

その後街につき、私は病院で手当てを受けたあと、彼と共に自分の家の前まで歩いて戻った。もっとも、私はしばらく松葉杖生活を余儀なくされたが。

別れ際、私は彼に向かって訊いた。


「私の知り合いにマリコンできるジプシーがいるけど、製造支援頼んであげようか?」


彼はその言葉に少しの間考えていたが、やがて首を横に振った。


「いや、やめとくよ」
「どうして?」


彼は私に白い歯を見せて笑いながら言った。


「俺、ステとか関係なく、生まれつき不器用だからさぁ…不器用なりにやっぱ最初は自力でやってみたいんだよね」


なるほどね、やっぱりこいつらしい考えだわ。でも、それも悪くないかもしれない。って、さっき同じようなことを考えた気がするけど。


「そういうことなら、仕方ないから応援だけにしておいてあげるわよ」
「また命の恩人に向かって偉そうに!…ま、多分明日も起こすことになるだろうから、それくらいで我慢しといてやるよ!」


そういって、私達は別れた。







その翌朝、やっぱりいつもどおり彼の叫び声は聞こえてきた。だがそれはいつもの声ではなく、喜びに満ち溢れた声だった。

どうやら、彼が待ち望んでいた初めての自作の武器が完成したようだ。






私は急いで、彼の元へと向かってやった。










[『不器用な鍛冶屋』 完]




<あとがき(というか宣伝みたいなもの)>
今回のRO.S.Sはいかがだったでしょうか。相変わらず下手な文章、ベタな展開でしたが、少しでも楽しんでもらえたら幸いです。



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