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RO.S.S 『Dark Cage』 第11話
2006/11/26(Sun)
さて、現在連載中のRO.S.Sの最新話です。


長かった連載も残すところあと3回となりました。果たして主人公達の運命やいかに!?


これまでの話を読んでない方はこちらからどうぞ。


Dark Cage タイトルロゴ


RO.S.S 『Dark Cage』第11話 信じる者のために

彼女の家はプロンテラ騎士団、いやミッドガルド国においても名家中の名家だった。

幼い頃から両親に剣技を鍛えられ、彼女自身も騎士の道に進むことに疑問を持ったことは一度もなかった。自分が騎士であることに誇りを持っていたし、国のために命をかけてためらうことに何らの躊躇もなかった。

だが一方で、その時の彼女は自身の意志というものを極力押し殺していた。命令は絶対、任務に私的な感情は一切許されない。それでも彼女自身、それで何の不都合もないと思っていた。

しかし、今は…




次の日の朝、ディオは支度を整えて診療所の玄関のドアを開ける。

ドアの向こうには、既にマリーが立っていた。

「マリ姉…」
「決めたの。私もいくわ」

一呼吸おいてから、マリーは言葉を繋いだ。

「軍の責任とか、そんなんじゃない。これは私自身の意志よ」
「そっか…」

マリーの顔にもはや迷いの色は見えなかった。彼女は彼女なりにこの一晩色々考え、そして結論を出したようだ。

ディオは彼女が共についてきてくれることに頼もしさを感じた。幼い頃から剣の師匠として共に鍛錬に励んできた彼女が一緒なら、自分も安心して精一杯戦える、そんな気さえした。

二人はお互いに再度頷き、そしてそれぞれの剣を抜いた。そしてそれを頭上に掲げ、刃先をあわせる。プロンテラ騎士団に伝わる、誓いの儀式だ。

「必ず二人、いや、『三人』共生きて戻ることを!!」

二人は声をそろえて誓った。そしてあの研究施設目指して歩き始めようとした。
と、その時後ろでまたドアが開く音がして、ラルフの慌てた声が聞こえる。

「お前さんたち、ちょっとまった」
「ドクター?」

二人が振り返ると、ラルフは何か小さな包み袋を持っていた。

「ほらよ」

その包み袋をディオに手渡す。

「中にはちょっとばかしのポーションと食糧が入ってる」
「いいんですか、こんなに…」

小さな袋だが、中には確かにポーションや非常食がぎっしりと入っていた。

「ああ。それと、これも持ってけ」

ラルフは白衣のポケットから何か取り出すと、それをディオ達に向かって放り投げた。

「っとと…」

落とさないように二人がつかみとり、手の中に納まったそれを見ると、小さなビンに入った何かの薬だった。

「これは?」
「俺が調合した特製のポーションだ。使えば短時間だが能力があがる。いざというときに使うといい」
「何から何までありがとうございます、ドクター」

ディオは礼を言ったが、ラルフはそれには答えず、そのまま背を向け、家の中に戻ろうとする。
だが、ドアを閉める前に、振り向かないままに二人に告げた。

「礼は戻ってきてからにしな。そんときゃまた特製スープ作って待っててやるから」
「はい」
「じゃ、な」

軽く手を振ると、ラルフはそのまま家の中に戻っていった。

「あれはあれで、私達のこと心配してくれてるのよ」

マリーにはわかっていた。もちろん、ディオにも。
二人は診療所に向かって一礼し、そして今度こそあの場所に向かって出発した。

二人が見えなくなるまで、ラルフは窓からそっと二人の後ろ姿を見ていた。そして完全に見えなくなると窓から離れ、キッチンのほうへ向かう。ちょうどクレアも朝の巡礼を終え、教会から戻ってきたところだった。

キッチンでエプロンをつけ始めたラルフに、クレアは少し驚いた。

「あれ、センセー。もう朝食は終わったのに、どうしたんですか?」
「クレアか。ちょうどいい、少し手伝ってくれ」
「手伝うって、何をです?」
「スープの下ごしらえだ。今日はいつもより『三人分』余計に作らないといけないんでな」





半日ほど歩けば、目的の施設は見えてくる。
今日は天気はいいが少し風が強い。森の中は前に来たときに比べると少しは明るかったが、それでも館が醸し出す不気味な雰囲気は拭われてはいなかった。むしろ、周りが明るくなった分だけ、その不気味さが増しているようにさえ見える。

二人は館の入り口に立つ。軽く息を吸い、そしてゆっくりと吐き出す。

「行こう」

ディオは古びたドアを開けた。
以前来た時と内装は変わっていない。だが、何となく漂う空気に異変を感じる。

「前に来たときより…邪気が増してるわね」

マリーも何か感じ取ったようだった。

「ああ。気をつけていこう、マリ姉」
「ええ」

二人はゆっくりと奥へ進んでいく。地上部にはやはり生き物の気配はなかった。しかし、それでも立ち込める邪気ははっきりと感じられた。
やがて地下へ通じる階段を下り始める。通路は暗く、時折何か嫌な匂いがした。血の匂いだ。

この時、二人の中に恐怖心がなかったわけではない。なにせ、前回来たときにはあのスカディという悪魔に嫌というほど実力の違いを見せ付けられたのだ。それを思い出すと今でも震えがとまらない。

だが、彼らの足も止まらなかった。お互い、自分の心の中に自分なりの決意を持った二人だ。たとえまたあの悪魔に相対することになろうと、いまさら逃げようなどという気持ちは微塵もなかった。

地下の通路に降り立った途端、血の匂いが強くなる。マリーは鼻を軽くふさいだ。

「嫌な匂いだわ」
「…」

ディオは口をつぐんだまま、奥へと進んだ。彼は感じていたのだ、彼女の気配を。マリーもそれはわかっている。だから彼の後についていく。

そしていよいよ、先日キリカが覚醒した実験室の手前までやってきた。
二人は壁にぴったりと背をくっつけ、少しずつ実験室の入り口のほうに近づいていく。
ディオは部屋の中を覗き込んだ。

「…!?」

部屋の中には誰もいなかった。驚いて、二人は実験室の中に入った。

「いない…?まさかもうここには…」
「そんなはずはないわ。あの悪魔はまだ完全には力を取り戻していない。その力を取り戻すまでは下手には動かないはずよ。それに…」

その先は言われなくてもディオにはわかった。この邪気は、間違いなく彼女がこの施設のどこかにいることを指し示していた。

「この施設のどこか別のところに移動したのよ、きっと。それを探さなきゃ…」

そう言って後ろを振り返ったとき、マリーは驚きの声をあげた。

「な…」

ディオも振り向くと、いつの間にか入り口をモンスター達が塞いでいた。

「馬鹿な!?今まで全く気配すらなかったのに…どこから現れたんだ!?」
「それよりも、あのモンスター達…まさか…」

モンスターといっても、その形は人間に近かった。しかも彼らの顔は死んだはずの兵士達の顔そのものであったのである。

「ネクロマンシー…」
「え?」
「死人をアンデットに変えて意のままに操る禁断の魔術のことよ。こいつらみんな、アンデットにされて蘇ったんだわ」
「じゃあまさか…」

と、その時アンデット達の後ろからあの笑い声がした。

「ウフフ、そのまさかよ」

そこには彼の心を傷つけたあの声、破壊の女神の名を語る悪魔スカディが立っていた。
二人は剣を抜き、彼女に向けて構える。

「スカディ…!!」
「まさか、生きてたとはね。もっとも、あの程度で死ぬようなら話にもならないけど」
「城のみんなを…アンデットにするなんて!!」

マリーは憤慨した。怒りのあまり、剣を持つ腕に力が入る。だが、そんな彼女の様子をみてスカディは面白そうに言った。

「あなたがもっと強ければ、こんなことにはならなかったでしょうにねぇ」
「!!」
「せいぜい人間同士で殺しあうことね」

それだけいうと、スカディは奥へと消えていった。

「待て、スカディ!!」

ディオが追いかけようとするが、アンデット達がそれを阻むかのように襲い掛かる。

「くっ…」

彼は躊躇した。いくらアンデットとはいえ、もとは城の兵士である。本当に斬りかかってもいいのだろうか。

だが、そんなディオの脇からマリーが飛び出し、アンデットのうちの1体をその剣で切り裂いた。

「ディオッ!!もう迷ってる暇はないわよ!!」
「あ、ああ!!」

剣の柄を強く握り返し、ディオもアンデットの群れに飛び込んでいく。

「ボウリングバッシュッ!!」
「ホーリークロスッ!!」

たちまちアンデット達が吹き飛ぶ。残りのアンデット達を振り切り、二人は空いた出口からスカディの後を追う。

「この先には何が…?」
「わからないわ。私もここにくるのはこの前が初めてだったから」
「けど、この奥にスカディがいるはずだ」


二人は全速力で走る。というのも後ろからはアンデット達が追いかけてきているからだ。今下手に体力を使うと、スカディと相対することすらできない。

途中前方からも何体かのアンデットが姿を見せるが、その度に二人はそれらをなぎ倒し、奥へと進んだ。

しかし、そのせいで時間をロスしたためか、後方から来る大群のアンデット達に追いつかれ始めた。

「くそっ、振り切れないっ!!」

ディオは仕方なく剣を構え、後ろのアンデット達に対して戦闘態勢をとる。
しかし、それをマリーが制した。そして彼女が彼の一歩前に出る。

「マリ姉!?」
「ここは私がやるわ。あなたはあの悪魔を追いなさい!」
「けど、いくらマリ姉でも、あの数相手じゃ…」
「ディオッ!!」

いつになく彼女が厳しい表情になる。流石のディオもびくっとして口をつぐんだ。

「あの子を助けられるとしたら、あなたしかいないでしょ」
「マリ姉…」

マリーにはわかっていた。たとえ自分がスカディと対峙しても、彼女にできることは何もないと。だから、彼女はあくまで彼のサポートに徹することを決めていたのだ。

「それに…どうやら私はどうしてもここに残らないといけないみたいだから」

マリーの視線はアンデット達のさらに奥に注がれた。暗い通路の向こう側から、もう1体アンデットが姿を現す。

「ヴェルナー…!!」

現れたのは、アンデットと化したあのヴェルナーだった。

「あの人がいるなら…なおさら私はここに残らないといけない」
「…」
「心配しないで。今朝誓ったでしょ。必ず三人で生きて戻るって」

それだけ言うと、マリーは剣を片手にアンデット達の群れに飛び掛っていった。

「ハァァァァァァァッ!!」

もうマリーは後ろを振り向かなかった。ディオも彼女のその様子を見てくるりと反転し、スカディが待つであろう奥の空間を目指して再び全速力で駆け出した。




暗い通路の先に、明かりが見える。
マリーと別れた後はアンデットに襲われることもなく、彼は思い切ってその光の中へ飛び込んだ。

「…!?」

その部屋には不気味な照明に照らし出され、様々な呪術器具が置かれていた。そして部屋の中央の床には大きな魔方陣が描かれていて、さながら何かの儀式の途中であるかのような雰囲気をさらけだしていた。

そして、その魔方陣の中央にあの悪魔が立っていた。

「スカディ!!」

ディオは剣を構え、彼女に向かって叫ぶ。スカディが振り向いた。

「ここまでこれたのね。城からこの子を連れ出したことといい、どうやら度胸と多少の実力はあるようね」
「彼女を解放しろ…っ!!」
「解放ですって?」

スカディはあの不気味な高笑いを見せた。

「アハハハ、残念だけどそれは無理よ。あの子はもうこの体の中で深い眠りについてる。永遠に覚めることのない眠りにね」
「何だと…!?」

ディオは驚愕した。だが、相手に気圧されまいと、必死に気持ちを奮い立たせる。
スカディはさらに続けた。

「あなたも知ってるでしょうけど、アタシの力はまだ不完全でね。完全に解放するためにはちょっとした儀式が必要なの。そしてもう一つ、アタシが力を解放するためには条件があってね」
「条件?」
「本来一つであるはずの魂が、今この体には二つ宿っている。つまり、アタシとあの子ね。この状態だと、仮に力を解放しても不安定にならざるを得ない。眠っているとはいえ、彼女の精神も体に影響を及ぼすことに違いはないから」

ディオに嫌な予感が走った。

「そしてこの体は本来あの子のもの。今のままでは儀式を行なった際に、アタシの力は完全には解放されない。だから、儀式を行なった後にこの子の魂と肉体を生贄にして、アタシは更なる体を呼びさますの。わかる?儀式が終われば、この体もあの子の魂も用済みなのよ。なんせこの子はただの『檻籠』なんだから」
「黙れッ!!そんなことはさせない」

ディオが一歩近づく。だが、スカディはさらに付け加えた。

「ああ、先に教えておいてあげるけど、この体を傷つければ当然あの子の魂も傷つくことになるわ。精神は二つあるとはいえ、同じ体を共有してるんですもの。万が一、あなたがアタシを殺すことができたとしても、それは同時にあの子の死を意味してる」
「くっ…」

厄介なことになっていた。このままでは、ディオは彼女に手を出せない。
だが、スカディは待ってはくれなかった。

「儀式には大量の血がいるの。今度はあなたの血も全部いただくことにするわ」

スカディが腕をかざす。あの悪霊達による攻撃を繰り出すつもりだ。彼女の腕から無数の悪霊達が生み出され、まっすぐディオに向かって襲い掛かる。

「…」

ディオは剣を構えたまま、動かなかった。

「もう観念したのかしら?」

スカディがニヤリと笑う。だが、その場にディオの叫び声がこだました。

「グランドクロスッ!!」

ディオが剣を天に向けて突き出す。その瞬間彼を中心に十字型の光が地面からあふれ出した。
彼に襲い掛かった悪霊達はその光を浴びると瞬く間にかき消された。

「へぇ…」

スカディの顔から笑みが消えた。

「やるじゃない。まとめてかき消すとはね」
「…」
「でも、これはどうかしら」

スカディは今度は鋭い爪を剣のように伸ばして一瞬でディオに近づく。流石にディオもこれには完全には反応しきれない。

「その心臓、もらったわ!!」

彼女は爪を彼の心臓めがけて突き刺す。だが、ディオはなんとかバックラーでそれを防いだ。しかし、勢いを受けきれず、彼は後方にはじき飛ばされ、壁に激突した。

「ぐっ…」

膝をつく。防いだとはいえ、かなりの圧力だ。少し骨が痛む。
荒い息をついているディオに、スカディは冷酷な表情のまま尋ねた。

「ねぇ、一つ聞かせてもらってもいいかしら?」
「…何だよ」
「あなた、どうしてこの子を助けようとするの?」

ディオは答えなかった。

「詳しいことは知らないけど、あなたも今まで散々人間たちに裏切られてきたんでしょう?両親にも捨てられたんですってね」

ドクンと彼の心臓が鼓動を打つ。

「そんな人間をなぜ助けるのかしら?」
「彼女は…俺と同じだったから」

そうつぶやいた。だが、スカディの表情がさらに冷酷で厳しいものになる。

「アタシはね…あなたみたいなその正義感が大っ嫌いなのよ」
「…」
「まあいいわ。あなたの分まで、アタシが人間たちに復讐してあげるから。アタシをこんな目にあわせた人間達にねぇ。アハハハハ!!」

彼女はまた笑った。静かな部屋にしばらくの間彼女の笑い声だけが反響していた。
だが、その笑い声はディオのたった一言で止んだ。

「バーカ」

彼女は笑うのを止め、目の前で床に片膝をついている彼を睨んだ。
激しい息をつきながら、ディオは静かに続けた。

「正義感だと…?今の俺は…とんでもねぇ悪党だよ。幼い頃彼女を裏切り…テメエみたいな悪魔を呼び覚ましちまったんだからな」
「その通りね。かっこ悪い」

口ではそう言っていても、スカディの中には焦りが生まれていた。

「ああ、かっこ悪いな。けどよ…」

ディオは立ち上がった。スカディは思わず数歩後退する。
彼の表情は苦痛に満ちてはいたが、真剣そのものであった。

「悪党は悪党なりに…信じてるものがあるんだっ!!」

彼が叫んだ。スカディの中の焦りが少しずつ大きくなる。

(この男…!!)

今まで言葉で巧みに彼を翻弄してきたスカディだったが、今度は自分が彼の言葉に翻弄されているのがわかった。

そして同時に、この男をこれ以上生かしておくと危険であるということも。

「だったら、アタシがそれを絶望に変えてあげるわよ!!」

スカディが再び爪を伸ばし、彼の前に対峙する。

ディオは一つ深呼吸をした。彼女の体の中にはキリカが眠っている。どうすれば彼女を助けることができるのか、必死に考えていた。いや、彼自身もうその方法は考えてあった。あとはどうやってそれを実行するかだけだ。

腹の傷が少し痛む。治療である程度治ったとはいえ、まだ彼は十分な体力が戻っているわけではなかった。

(体力的にもそう長くはもたないか…)

ディオは覚悟を決めると、ポケットからラルフにもらった特製ポーションを取り出した。

(第12話に続く)





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