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RO.S.S 『Dark Cage』 第5話
2006/10/18(Wed)
さて、現在連載中のRO.S.S『Dark Cage』の最新話です。


これとは別に、現在新たなS.Sを執筆中だったりします。もっとも、こちらはROとは一切関係のない話ですが。自身としては初めてのサスペンスもの。推理色も多少ありますが、どちらかといえばストーリー重視かも。ただ、こちらのほうはとある事情によりここで公開するかどうかは未定。というより、ちょっとチャレンジしてみたいことがあるためなんですが。


それはさておき、これまでの話を読んでいない方は是非こちらからどうぞ!!



それでは、最新話をどうぞ。



RO.S.S 『Dark Cage』 第5話:血に飢えた魔女


「ママー」

幼い女の子が家の前の庭で洗濯物を干している母親に駆け寄る。

「どうしたの?」
「あのね…モンスターっておいしいの?」

母親は一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに笑ってわが子の頭を撫でた。

「バカね、モンスターが食べられるわけないでしょ」
「でも、さっき森で知らないお姉ちゃんが食べてたよ」





ディオ達が姿をくらましてから30分、ヴェルナーは未だに苛立っていた。彼にしてみれば、迂闊であったとしかいいようがない。まさかあの状況で逃げられるとは…。

(はぁ…)

そんな彼の傍にいなければならないマリーは身の置き方に困った。ヴェルナーが苛立ってるときは下手にあれこれいわないほうがいいということだけはわかっているのだが…。

このため息ももう4回目だ。

そこへ兵士が報告に来て、ヴェルナーに怒鳴られてまた捜索へ戻っていく。

かくして、彼女は5回目のため息をついた。




「キリカ…しっかりしろ、キリカ」

かすかにディオの呼びかける声がする。うっすらと彼女が目をあけると、目の前にディオの顔が見えた。

「気がついたか、よかった…」
「え…ここは…?私たちはどうなったんですか?」

体を動かすと、全身が濡れているのがわかった。着衣や下着までずぶぬれだ。ディオも同様だった。

「あの崖から少し離れた『湖岸』だ。」
「『湖岸』?」

彼女が横に目をやると、そこには大きな湖が広がっていた。

「昔ハルエラ様に聞いたことがあった。アルデバランの手前には大きな湖があるって。ここがその湖みたいだ」

あの時、ディオはキリカを抱えたまま、崖の上からこの湖へと飛び込んだのである。かすかに崖の下から聞こえる水の音を聞いて、ハルエラの話を思い出したのだ。

しかも、今日は霧が出ているため、おそらく崖の上から兵士たちに姿を発見される心配のないだろう。だが、油断はできない。彼らが生きていることがばれるのも時間の問題であろう。そうなる前に、なるべくここから離れなくてはならない。

「とにかく、ここにいるのは危険だ。疲れてるだろうけど、もう少し頑張ってくれ」
「は、はい」

差し出された手をつかんで彼女は立ち上がった。そしてディオに手を引かれるまま、森の奥へと入っていく。

今日は月が出ているおかげで夜でも森の中はそれなりに明るいが、それは同時に相手からも発見されやすいことを意味している。二人が生きていることがわかればすぐに追っ手がつくだろうから、それまでに少しでも遠くへ逃げなくてはならない。

だが、二人ともそれほど体力に余裕があるわけではなかった。特にキリカは連日の山越えでかなり疲労がたまっていた。しかも湖に落ちて衣服が水を吸ったために一歩一歩が重く感じられる。そのため余計に体力が奪われた。

やがて、キリカの息が目に見えて荒くなった。

(彼女ももう限界か…)

ディオが辺りを見回すと少し離れたところに洞穴が見えた。

「あそこまでいこう、がんばれ」

彼女を励ましながら、向こうに見える洞穴を目指した。

洞穴に着くと二人は荷物を降ろす。ディオはキリカを岩の上に座らせると自分は外にでて焚き火用の薪をいくつか拾ってきた。

火を灯すと急激に体が温まるのがわかった。外は寒くはないが、水に濡れたせいか、二人の体温はかなり下がっていたのだろう。とりわけつかれきったキリカにとってはこの焚き火の熱は心地よかった。

しばらく二人は無言のまま焚き火の炎を眺めていた。
が、やがてキリカが静かに口を開く。

「これからどうするんですか…?」

彼女は少し不安げな様子だった。それもそのはず、ここまでは順調にこれた行程だったが、ついに軍の追撃部隊に見つかってしまったのだ。うまく逃げれたとはいえ、これまで以上に捜索は厳しくなるだろう。このまま無事にアルデバランにたどり着けるのか、それが気になって仕方がなかった。

「一度見つかった以上、やっぱり街道沿いは封鎖されてると考えていいだろうな」

ディオもそれはわかっていた。だが、どうしてもアルデバランにはたどり着かなくてはならない。そこに彼女が求める過去があるのだとしたら。

少し考えた後、彼はハルエラから渡されたカバンの中に入っていた地図を取り出し、岩の上に広げて指さした。

「今俺達がいるのはこのあたりだ。街道はミョルニール山脈の麓沿いにずっと連なってるが、ヴェルナー達も馬鹿じゃない。俺達が生きてることがわかればおそらく封鎖してくるだろう」

彼が指さしているのは地図の中の「ミョルニール山脈」の一部であった。キリカも黙って頷く。

「だから、街道は避けてこの山を越えるしかないな。こっちの山道はかなり険しいが、街道沿いをいくよりは安全なはずだ」

彼の指が街道とは逆側、つまり山の中央付近をなぞっていく。

「かなり厳しい山越えになる。大丈夫か?」
「私は平気です」
「そうか、なら明日はこっちのルートで行こう」

そういいながら、内心では少し不安が残る。ここ数日間の旅の行程、あるいはそれ以前の軟禁生活のせいで、彼女は決して体調がいいわけではないだろう。そんな彼女に、ディオとしてもこれ以上無理はさせたくなかった。

だが、彼女がそう言ったのだから、彼としても止める理由はなかった。彼女は今、自分の記憶を求めて必死になっているのだ。そんな彼女を自分は信じると誓った。だから無理はして欲しくはなかったが、彼女の意志を軽んじることはそれ以上にしてはならないと思っていた。

「なら、今日はそろそろ寝よう。疲れも溜まってるだろうし、少しでも休んでおいたほうがいい」
「はい」

そう言って立ち上がろうとしたとき、彼は左足に痛みを覚えた。

「…っ!!」

思わずその場にうずくまる彼を見て、キリカは慌てて駆け寄った。

「大丈夫ですか!?」

見ると彼の左足に何かで切った跡があり、そこから血がにじみ出ていた。

「血が…」
「崖から飛び降りたとき、どこかで切ったのかもな」
「すぐに手当てしないと!)」

キリカはハルエラのカバンから傷薬を取り出し、フタを開けた。

「じっとしててください」

キリカにそういわれると、ディオも下手に抵抗できず、そのまま彼女の看護を受け入れることにした。

だが、いざ彼女が傷薬を傷口にぬりつけようとしたその時、彼女の様子に異変が起きた。彼の足からにじみ出る血を見た彼女は、突如動きを止めた。彼女の中で何かがドクンと鼓動を打った。

「…」
「キリカ?」

ディオが声をかけるが、キリカは反応しない。ただその視線は彼の血に注がれているのみである。

すると、突然彼女が頭を両手で抱えてうめきだした。

「う…あ…」

ただ事ではないと思ったのか、ディオが彼女の両肩に手をおき、声をかけながら軽くゆする。

「おい、キリカ!?どうしたんだ、大丈夫か?」
「ぐあ……あぁぁぁぁぁぁッ!!!」

駆け寄ったディオを突き飛ばし、彼女の苦しみはさらに増加した。
突き飛ばされたディオはただ唖然としてその光景を見ていた

「キリカ…」
「あうぅぅ……」

彼女の苦しみはなお治まらない。それどころか逆に増していくばかりである。

と、その時入り口のほうで何かの音がした。ディオが振り向くと、そこには二人を睨みつけている一匹のオオカミがいた。

「…モンスターかッ!?」

咄嗟に起き上がり、壁に立てかけておいた剣に手を伸ばす。
だが、その剣をつかんだのは彼の手ではなかった。

「なっ…」

彼よりも華奢な腕でキリカが剣の柄を握っていた。そしてそのまま剣を持って狼と対峙する。オオカミのほうもかなり殺気立っており、今にも飛び掛らんとするばかりの勢いだった。

「よせ、キリカッ!!」

彼の制止する声を無視して、彼女はオオカミのほうへと少しずつ歩み寄っていく。というより、今の彼女には彼の声は聞こえていないようにすら見えた。

近づいてくる彼女に対して、オオカミも牙をむく。そしてついにオオカミは彼女の体に飛び掛った。

「キリカッ!!」

思わず目をつむる。そして鈍い音。

ディオは目の前で起きた出来事をできれば想像したくはなかった。

だが、しばらくして目を開けたとき、彼は自分の想像と異なる現実がそこにあることを目の当たりにした。

「…!!」

引き裂かれたのは彼女ではなく、オオカミのほうだった。地に伏しており、既に息はない。そして切られた跡からは大量の血が流れ出ていた。

ディオはその光景に戦慄すら覚えた。だが、本当の恐怖はその直後に彼を襲った。

血のついた剣をおろして立ち尽くしていた彼女が、何を思ったのか既に息絶えたオオカミの死体に近づいていく。そして、彼女は口をオオカミの傷口に持っていき…。

そのオオカミの血をすすり始めた。

「ぐっ…ゲホッ、ゴホッ…」

その光景を目にして、ディオは猛烈な吐き気に襲われる。胃からこみあげる熱い液体を必死に抑えた。
そんな彼を尻目に彼女は血をすすり続ける。彼女の服にもオオカミの血が少しついた。

何とか吐き気を押さえ、ディオは彼女の後姿に目をやる。今の彼女は狂気に満ちていた。だから一刻も早くやめさせたかった。

「くそッ!!」

起き上がり、再度彼女の元へ駆け寄り、背中側から彼女を取り押さえる。だが、彼女はやはり激しく抵抗した。

「うぅ…がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「やめろ!!落ち着け、キリカ!!」

これまでの彼女の行動や様子からは想像できないほど、彼女の力は強かった。なんとか振りほどかれまいとして、ディオも必死に彼女の腕を押さえる。

それでもなお、彼女はオオカミの血を欲した。
それを見て、ディオは必死に彼女に呼びかけた。

「そんなに血が欲しいのか!?」
「あぅぅぅ…ああぁ…」
「だったら…俺の血をやるッ!!俺の腕を噛めッ!!」

ディオは自分の右腕の袖を口で噛んで引きちぎり、肌を露出させた。そしてその腕を彼女の目の前に突き出す。今までオオカミのほうばかりみていたキリカが、今度は視線をその腕に落とした。そして…。


ディオの小さな呻き声。


次の瞬間には、突き出された腕に彼女が噛み付いていた。
だが、ディオは必死に声を押し殺した。彼女が噛む力は強く、痛みも増していったのだが、彼はそれでも目を閉じたまま黙って我慢していた。

自分の血が彼女の中へと運ばれていくのを感じた。

だが、しばらくして、不意に腕を噛む彼女の力が弱まった。それまで必死に痛みをこらえていたディオが不思議に思ってうっすらと目をあけると、今まで押し殺していた声が漏れた。その声は苦痛のあまり発せられたものではなかった。

泣いていた。大粒の涙が彼女の瞳にあふれ出ていたのだ。その表情には先ほどまで満ち溢れていた狂気は微塵も感じられなかった。

やがてその涙が、今度は嗚咽になって彼の耳に聞こえてくる。

ディオは噛まれたほうとは逆の腕で彼女の頭をそっと優しく撫でた。

「泣かなくていい」

彼女を自分の傍にゆっくりと抱き寄せる。

「たとえお前の体がどうであろうと…お前の過去が…お前自身が何者であろうと…俺が最後までお前を信じる。だから、泣くな…」

彼女はその後もしばらく彼の腕の中で泣き続けた。


(第6話に続く)





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