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RO.S.S 『Dark Cage』 第4話
2006/10/10(Tue)
諸事情で連載がスローペースになってますが現在連載中のRO.S.S最新話です。

書いてる途中で思ったけど、ROの話にもかかわらずROネタがあんまり出てない罠。

後半は急激にROネタが出てきますのでご安心を。



なお、まだこれまでの話を読んでない人はこちらからどうぞ!!



それでは、本編をどうぞ!!


Dark Cage タイトルロゴ



RO.S.S 『Dark Cage』 第4話:追撃


「それでは、約束のゼニーです」

ローブを身にまとい、フードで顔を隠した何とも薄気味悪い男が、二人の男女に金貨の入った袋を手渡す。男のそばにはまだ幼い少年がうつむいたまま立っていた。

「今後、この子には会うことはできません。よろしいですね?」
「ええ、結構です」

それだけ言うと、二人は少年には目もくれず、袋の中身を確認しながら家の中に戻り、ドアを閉めた。

「行くぞ」

ローブの男の口調が変わり、少年の背中を突き飛ばす。少年はよろけながら、悔しさをこらえて黙って歩き出した。






「魔女が城を抜け出しただと!?」

夜回りから戻ってきたヴェルナーは兵士の報告を聞いて憤怒した。

「も、申し訳ございません!」
「貴様ら、これがどれほど大変なことかわかっているのか!?貴様らのミスは私の責任になるのだぞ!」
「城内に魔女の脱獄を手引きする者がおり、その者が連れ出したものと思われます。入り口は固めていたのですが、ハルエラ様が魔術で外に送り出されて…」
「言い訳はいい!それよりもすぐに追撃隊を…」

そこまで言って、ヴェルナーは不意に笑みを浮かべた。

(これはチャンスかもしれん…)
「ヴェルナー様…?」

兵士は少し不思議そうな顔をしてヴェルナーのほうを見ている。

「ともかく、追撃隊を組織する。それと、司祭ハルエラを魔女を脱獄させた罪で幽閉せよ」
「は?し、しかし…」
「構わん、国王へは私から報告する。急げ!」
「はっ!!」

兵士が慌ててヴェルナーの元から離れていく。

ハルエラを幽閉することによって自分に口を出すものを排除することができる。司祭が罪を問われて幽閉されては、教会関係者達も強くは出てこれないだろう。そうすればヴェルナーのやり方に文句を言う者はいなくなる。

笑みを浮かべたまま、ヴェルナーはゆっくりと国王の部屋へ向かった。




城を抜け、ディオとキリカはアルデバランを目指して進路を北にとった。

プロンテラの北側には森林が広がり、その先にはミョルニール山脈がそびえている。アルデバランにたどり着くためにはこれらを越えていかなければならない。

城を出て5日目、二人は既に森林を抜け、ミョルニール山脈を越えにかかっていた。幸い、まだ城からの追手には出くわしていないが、彼らの行く手を阻むのは何も追手だけではない。特にミョルニール山脈にはアルギオペをはじめ、凶暴な野生のモンスター達が生息しており、人間を見ると襲ってくるのだ。

ディオはともかく、キリカが戦闘に参加するのは難しい。「魔女」と呼ばれた彼女も、決して魔術が使えるわけではない。それゆえ、二人は極力戦闘を避けた。

しかし、戦闘はさけても二人の体力は奪われる。本来人が通るために作られた街道は、下手をすると首都から知らせをうけて検問を行っているかもしれない。それゆえに険しい山道を歩くしかアルデバランに行く方法はなかったのだ。特に女性であるキリカにとってはこの山道はつらいものだった。ディオは彼女の様子を見つつ、歩くペースを落とした。

その日の夜、二人は岩影にキャンプを張り、荷をおろして座り込む。二人とも、かなり疲れているように見えた。

「あと二日も歩けばアルデバランに着けるはずだ」

ハルエラから渡されたカバンの中に入っていた地図を見ながら、ディオは言った。

「もうすぐ、あの街に…」

キリカは何か思いつめたような表情をしている。それを察してか、ディオは優しく声をかける。

「大丈夫か?」
「ええ…ありがとうございます」

二人はその後食事を済ませ、焚き火にあたりながら紅茶を飲む。この紅茶もハルエラがカバンに入れておいてくれたものだった。いかにも彼女らしい計らいだ。

あたりはもう真っ暗になっていた。季節は夏だが、山の中ということもあってか、割と肌寒い。焚き火の暖かさと紅茶の温かさが疲れた二人にとっては心地よかった。

焚き火の明かりによって二人の顔が闇の中に照らし出される。
ふとキリカが両手で紅茶の入ったカップを包みながら、ディオに尋ねた。

「一つ聞いてもいいですか?」
「ん?」
「ディオさんは、なぜ私を信じてくれたのですか?」

ディオは黙ったまま、紅茶を口に運ぶ。そしてしばらくして、ゆっくりと言った。

「上の連中のやり方が気に入らなかったからさ」
「本当に、それだけですか?」

キリカはまだ納得していないようだった。確かに彼の言ったことも事実だろうが、それだけの理由で彼がここまでしてくれるとは思えなかった。
さらに問い詰められたディオは、観念したように両手をあげた。

「わかった、わかった。白状するよ」

少し間をおいて、彼はやはりゆっくりと口を開く。

「似てたんだよ」
「えっ…?」
「あんたは…幼い頃の俺に似てたんだ」

ディオの中に幼い頃の自分の姿がよみがえる。

「聞いてもあまり面白いとはいえない昔話だが、聞きたいか?」

キリカは少しためらった。彼の話を聞くことで、彼に辛い過去を思い出させてしまうのではないかという思いに駆られたのだ。

「…あなたがいいのなら、聞かせてください」

彼女の返事を聞いて、ディオは軽く頷いた。

「…俺は、山奥の小さな村で生まれた。貧しい村でさ、みんな出稼ぎとかに出てた。でも、それだけじゃ生活は苦しくて、俺の村じゃ人身売買を平気でやってたんだ」
「人身売買!?」
「ああ、売りに出されるのは大抵子供だった。親が金欲しさに平気で子供を売り飛ばすんだ」

ため息をつくディオを見て、キリカは直観的に確信した。

「じゃあ、まさか…」
「ああ、ご想像の通り、俺も売りに出された一人ってわけさ。別れのとき、俺の両親は俺には目もくれないで必死に金の勘定をしてたよ」

表情を変えることなく淡々と述べるディオだったが、その声にはどこか寂しさが感じられた。

「あなたはその後、どうしたんですか…?」

恐る恐るキリカが尋ねる。

「俺は村から馬車の荷台に乗せられて輸送された。荷台の中には他にも何人か売り飛ばされた子供がいたな。別の村のやつも混ざってた。みんな死んだような目をしてやがった。俺の前に座ってた女の子は、ずっとうつむいたまま、泣きそうな顔をしてたのを覚えてる。一度だけ目があったとき、俺は声をかけようかと思ったけど、結局かけられなかった」
「怖かったんですね、きっと…」
「ああ。俺だって怖かったさ。このままどこかに連れて行かれて、他人にこき使われるなんて、俺には耐えられなかった」

紅茶がわずかに残ったティーカップを握る彼の手に力が入る。

「だから夜になって馬車が停泊してる隙を見て、俺は荷台を抜け出して暗い森の中に逃げ込んだ。当然追手がついたけどな。闇に包まれた森の中を、俺は一人でただ走り続けた。ようやく追手をまいたときには体中傷だらけになってたよ」
「……」

キリカは何も言えなかった。今日は月が出ているため、森の中は月明かりに照らされており、それなりに明るいが、彼が走った時は本当に真っ暗だったのだろう。闇の中をたった一人で、追手の恐怖を感じながら逃げるために走っていたのだから、相当怖く感じたに違いない。

「それから二ヶ月間、俺は乞食みたいな生活を送った。いつのたれ死んでもおかしくなかった。周りの人間からは白い目で見られたし、中には俺のことが気に入らなかったのか、暴行を加えてくるやつもいた。逆にそんな俺をあわれそうに見つめるやつもいたな」

ディオは笑った。だが、目は笑っていなかった。

「その時の俺は、誰も信じることなんてできなかった。実際一人で生きていけると思ってたし、死んだら死んだでそれが俺の運命だと思ってたから。でも、そんなときあのお方、ハルエラ様に出会ったんだ」
「ハルエラ様…あの司祭様ですね?」
「ああ。その時、俺は流行病に冒されて倒れてた。薬を買おうにも金もなければ売ってくれるようなやつもいねぇしな。俺はこのまま死ぬんだって、死を覚悟したよ。けど、たまたま巡礼の旅の途中に通りがかったハルエラ様が、見ず知らずのみすぼらしい俺を拾って看病してくださったんだ。そのおかげで俺は一命を取りとめた。さらにハルエラ様は俺を世話役として城で働かせてくれた。それが8年前だ。その時以来、俺はハルエラ様に仕えてきた。…これで満足か?」

話を終え、ディオは残っていた紅茶を飲み干した。そしてキリカの顔を見る。

「城に幽閉されてたときのあんたは、誰も信用してなかったし、逆にあんたのことを誰も信用してくれないって思ってたろ?その時のあんたが幼い頃の俺とそっくりだったから、俺はあんたを連れ出した。けど、勘違いしないでくれ」

ディオは空を仰ぐ。今日はきれいな星空が広がっており、空気も透き通っていてすがすがしい。

「これは同情なんかじゃない。ハルエラ様に助けられたとき、俺は人を信じることの大切さに改めて気付かされた。だから、俺もあんたを信じたい。これは俺自身の意志なんだ。たぶん、俺を助けてくれたときのハルエラ様も同じだったと思う」
「あなたは、強いのですね」

キリカは少しうらやましかった。彼に比べて、自分はなんと小さな人間なのだろうか。

だが、笑いながらディオは首を横に振った。

「いいや、俺なんかまだまださ。聖騎士団に所属はしてるが、剣の腕もまだまだだし、正直今でもふるえがとまらなくなることがある。けど…」
「けど…?」
「もう後戻りはできない。俺は自分の運命をあんたに託したんだ」

言葉の途中で、彼の表情がまた真剣なものに戻った。

「だから、俺は最後まであんたに付き合うぜ」
「…ありがとう」

キリカは嬉しかった。自分のことをこれほどまで信頼してくれたのは育て親以外では彼が初めてだった。

「それに…」
「それに?」
「人間、やっぱ笑った顔のほうがかわいく見えるぜ、きっと」

少し恥ずかしそうに言ったディオの言葉の意味が、このときのキリカにはよくわからなかった。

「さて、今日はもう寝よう。明日も早いしな」

話題を終えようと、ディオがわざとらしく大きな声を出して寝る姿勢に入ったその時、暗闇の中から声が聞こえた。

「残念だが、貴様らに明日はない」

ハッとして、ディオは反射的にたてかけておいた剣をとり、キリカをかばうようにして構える。闇の中から複数の足音が聞こえてきた。

「誰だっ!?」

ディオが暗闇に向かって叫ぶと、一人の影が焚き火の明かりによって照らし出された。その姿を見て、ディオは舌打ちした。

「チッ、やっぱりあんたかよ」

姿を現したのは国王直属の騎士団第二大隊隊長、ヴェルナー=マーキスだった。その後ろには副隊長のマリーや他の兵士達が次々に現れる。

「城からはうまく逃げられたが、ようやく追いついたな」

ヴェルナーが一歩踏み出す。

「ディオ=カルナス!!魔女脱獄の手引きをした張本人として、貴様も魔女と共に処刑する!」
「彼女は魔女なんかじゃねぇ!!十分調べもしないで罪人扱いたぁ、国王直属の騎士団様はよっぽど能無し集団なのか?」

彼の挑発的な言葉に、ヴェルナーは声をあげて笑いだした。

「ハハハハハッ、その女が魔女である証拠はその女自身の体に刻まれているではないか。刻印のことは貴様も知っているだろう」

刻印に関してはディオは何も言い返せなかった。だが、それでも彼はヴェルナーに気圧されないように必死に主張した。

「彼女は六年前以前の記憶をなくしてる!!処刑するならそれを調べてからやるべきじゃないのか!?」
「お前はその魔女のいうことを鵜呑みにする気か?その女がウソをついている可能性もある」
「そうじゃない可能性だってあんだろ!!」
「お前には何を話しても無駄のようだな」

ヴェルナーが手を上げると、兵士達が武器を構えて前に出た。

「ディオ、もうやめて!!今ならその娘を素直にこちらに渡せばあなたは処刑を免れることができるわ!」

マリーが彼を説得しようと試みる。マリーはディオにとって姉のような存在で、彼が聖騎士団にはいったのも彼女が薦めたからだ。

「お願い、ディオ。その娘をこっちに渡して」
「マリ姉…」

しかし、ヴェルナーがマリーの声を遮る。

「マリー、任務に私情を挟むな」
「し、しかし…」

マリーは唇を噛んだ。彼女にとってヴェルナーの命令は絶対である。
そんなマリーに対して、ディオははっきりとした声で言った。

「マリ姉、悪いけど今回ばかりはマリ姉の頼みでも聞けねぇ。決めたんだよ、彼女と共に行くって」
「だが、それもここまでだ」

ヴェルナーの声と同時に兵士達が一歩近づく。

「悪ぃな、俺達はまだつかまるわけにはいかねぇんだ」
「ディオさん…」

キリカが不安そうな表情を見せる。

「この状況で逃げ切れるとでも思っているのか?」

ヴェルナーも自ら剣を抜いて彼らに近づいた。
その時、ディオが叫んだ。

「キリカ、走れ!!」

彼女の手を引いてディオは走り出す。と同時に腰の袋から何かを取り出し、それを投げつける。それが地面にぶつかって破裂した瞬間、白い煙が勢いよく噴き出した。

「これは…煙幕か!?」

ヴェルナーは煙を吸わないように鼻や口を袖でふさいだ。その隙に二人はその場から走り去る。

「逃がすな!!追えっ!!」

兵士達がヴェルナーの声に反応して二人を追いかける。
二人は必死に走った。後ろからは兵士達の足音が聞こえる。
だが、それほどいかないうちに二人は足を止めることになった。

「な…しまったっ!?」

二人がついた先は崖になっていて、それ以上進めなかった。霧がかかっていて良く見えないが、かすかに水の音がする。すぐに引き返そうとしたが、それよりも早く兵士達が追いついてきた。

「とんだ猿知恵だったな」

兵士の後ろからヴェルナーが前に出た。二人は完全に包囲されていた。

「ディオさん…ごめんなさい」

キリカは覚悟を決めたらしい。目を閉じて、ぎゅっと彼にしがみついた。

「もう逃げられん、ここでその魔女と共に朽ち果てるがいい」

ヴェルナーが二人を討つように兵士達に命じる。兵士達はじりじりと二人に迫ってくる。目を閉じたままのキリカに、ディオはそっとささやいた。

「キリカ…俺にしっかりつかまってろ。それと、合図したら大きく息を吸い込め」
「えっ…?」
「行くぞ」

次の瞬間、ディオはキリカを両手で手繰り寄せてしっかりと抱きかかえ、崖を思いっきり飛び降りた。

「なっ…!?」

ヴェルナーをはじめ、その場にいたものは驚いてしばらく動けなかった。すると、何かがはじけるような音がした。ヴェルナーが何とか声を絞り上げる。

「誰か、崖の下を確認しろ!!」

兵士の一人が彼の命令に、崖下を覗き込んだが、濃い霧のせいでよく見えなかった。

兵士達は、異様なほどの静寂に包まれた。





ディオの声が聞こえたあと、冷たい水の感触が彼女の全身を包んだ。言われたとおり思い切り息を吸い込んでぎゅっと目を閉じていた。

そして彼女はそのまま意識を失った。


(第5話に続く)





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