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RO.S.S 『Dark Cage』 第3話
2006/10/03(Tue)
少し遅れましたが、現在連載中のRO.S.S『Dark Cage』の第3話掲載です。

これまでの話を読まれていない方は、こちらからどうぞ。



それでは、RO.S.S『Dark Cage』第3話をお楽しみください。


Dark Cage タイトルロゴ


RO.S.S『Dark Cage』第3話:信じる者たち

激しい雨音。体が濡れていくのがわかる。
彼女は頬で冷たい地面の感触を感じていた。
体が熱く、ひどい頭痛がする。目がかすんでいく。
そのかすんだ目には、雨にまじって流れる赤い血が映っていた。





その日の夜、やはり彼女は冷たい地下牢の中で両膝を抱えて眠っていた。

いや、正確には眠ろうとしていたと言った方がいいかもしれない。少し眠りにつくと、悪い夢を見る。うなされて、そして目が覚める。これの繰り返しだ。

夢の内容は様々だが、どの夢でも自分は血に染まっていた。自分が処刑されるかもしれないという恐怖よりも夢の内容のほうが恐ろしかった。
彼女は声に出せない恐怖をただ両膝をぎゅっと抱えて耐えることしかできない。

鉄格子の外側では、見張りの兵士が彼女には目もくれず、眠たそうに立っている。

と、その時入り口のほうで音がした。うつらうつらしていた兵士がハッとして武器を構える。だが、入り口の方には誰も見えなかった。兵士は武器を構えたまま、入り口の方に確認に行く。

そして兵士の姿が壁で見えなくなった。彼女はその間もずっとうずくまってうつむいていた。やがて、再び足音が彼女のいる牢の方へと近づいてくる。そして、足音が牢の前で止まった。

ガチャリ

牢の扉の鍵が外れる音がした。彼女は顔をあげた。
そこに立っていたのはさっきの兵士ではなかった。昼間に話をしたあの兵士、ディオであった。

「あなたは…!?」

驚きを隠せない彼女に、ディオは小さな、しかし、はっきりとした声で尋ねた。

「あんたは…自分の過去を知りたいか?」
「えっ…」

突然の質問に戸惑う彼女に、ディオは続けて尋ねた。

「あんたは自分の過去を…亡くした記憶を取り戻す勇気はあるか?」

ディオの表情は真剣そのものだった。少しの間沈黙を守っていた彼女だったが、やがて口を開く。

「…知らない方が幸せなのかもしれません」

一瞬だけ悲しそうな表情を見せた彼女は、その後すぐに強い口調で言った。

「でも、もし知ることができるなら、私はそれを知りたい。自分が何者で、一体なぜ罪を犯したのか」

彼女の答えに、ディオは少し安心したようだった。

「なら決まりだ。行こう」
「行くって、どこに…」
「あんたの記憶探しの旅だ。籠を抜け出した鳥は、大空を羽ばたいて冒険に旅立つんだ」

ディオは牢の中に入り、彼女の傍で膝をついて目線の高さをあわせる。

「このままここにいればあんたは明日の朝処刑される」
「…!」
「あの後偶然聞いちまったんだ。だから、抜け出すのは今夜しかない」
「ダメですっ!!」

彼女は強く否定した。

「そんなことをすれば、あなたまで罪に問われます!!」
「んなことはどうだっていい。それよりも早くここを出るぞ」

急かすディオの腕を彼女は振り払った。

「お気持ちは嬉しいです。でも、関係のないあなたまで罪人にしたくありません」
「まるで自分が罪人であることを認めてるような言い草だな」

彼の少し毒気づいた言葉に、彼女はそれ以上言い返せなかった。

「ここを出るかどうかはあんた次第だ。あんたが出たいっていうなら俺は力を貸す。出たくないなら、処刑を待つだけだ。けどな…」

ディオは再びしゃがみこんで彼女と目を合わせる。

「あんたは俺が単なる同情でこんなこと言い出したとでも思ってるのか?」

ディオの瞳は澄んでいた。何かを確信した、心の中に強い決意を秘めているような、そんな瞳。

「俺は、あんたを信じたいんだ」
「私を、信じる…?」
「あんた言ったよな?昔の記憶がないことを言っても、誰も信じてくれなかったって。今のあんたには、あんたを信じてくれる人間が必要なんだ。だから俺はあんたのことを信じたい。空白の時間を埋めないまま、自分が何をしたのかもわからないまま自分の罪を受け入れるなんて、絶対に間違ってる!」

ディオは彼女に手を差し伸べた。

「あんたの人生だ。俺は強制しない。だが、もしあんたにその気があるなら…」

彼女にはまだ少し迷いがあった。だが、やがて彼の手をつかんで立ち上がった。

「よろしく、お願いします」
「決まりだな」
「あの…あなたのお名前は…?」

考えてみれば、ディオはまだ彼女に自分の名前を名乗っていなかった。

「ディオだ。ディオ=カルナス」
「わかりました、ディオさん」
「そういえば、あんたの名前は?」

思い出したように尋ねた後、彼は後悔した。彼女は記憶喪失なのだ。

「本当の名前は私も覚えていません。でも…」

彼女は手を胸にあて、ディオの目を見てその名を口にした。

「キリカ。キリカ=エルファンディア。これが私の育て親が私につけてくれた名前です」
「キリカ、か。いい名前じゃないか」

ディオもキリカに笑ってみせた。

「急ごう。あまりグズグズはしてられない」

キリカの手を引いて、ディオは牢を出て階段の方へと向かう。内心、かなり焦っていた。彼が魔女を連れ出したことがばれるのも時間の問題だろう。その前になんとしても城を抜け出さなくてはならない。

階段の入り口では、さっきの兵士がのびて倒れていた。おそらくディオの一発をまともにくらったに違いない。

檻に閉じ込められた魔女と共に、ディオは自分の運命を記憶探しの旅に託すことにしたのだ。





しばらくして、城の中を慌しく兵士達が走り回り始める。一週間前に捕らえられ、明日には処刑されるはずの魔女が逃げ出したのだから当然だ。ディオの思惑に反して、城から抜け出す前に事が発覚してしまったのだ。国王はすぐに兵士を集め、城中を探すように命じた。
兵士達の目をかいくぐりつつ、二人は城の外を目指していた。

「くそっ、こんなにも早くばれるとはな…」

二人は廊下を走りつつ、階段を目指す。だが、階段の下からは兵士達が上がってくる。

「やべっ…!」

ディオは咄嗟にキリカの手を引いて階段とは逆の通路に逃げ込む。彼はかなり焦っていた。というのも、この通路の先は行き止まりなのだ。後ろからは兵士達が近づいてくる音もする。このままでは見つかるのも時間の問題だろう。

だがその時、前方で声がした。

「こっちよ、ディオ!急いで!!」

振り向くと、リエルが二人を手招きしていた。

「リエル…!?」

驚くディオだったが、状況が状況なだけに考えている暇はなかった。二人はリエルの手招きに従って彼女についていく。リエルが入っていったのはハルエラの部屋だった。意を決して二人も部屋の中へ駆け込む。

部屋の中ではハルエラが二人を待っていた。二人が入ったのを確認すると、リエルがドアを閉めて鍵をかけた。

「やはりその娘を連れ出したのはあなたでしたね、ディオ」

ハルエラが二人に近づく。ディオはキリカをかばうように前にでた。

「これが俺の信じた道です」

すると、意外なことにハルエラは微笑んだ。

「わかっていますよ、ディオ。夕方にあなたを見たときから、こうなる予感はしていましたから」

そういうと、ハルエラはリエルに命じて部屋の奥から小さいカバンを取ってこさせた。そしてそれを二人に差し出す。

「この中にはわずかですが、旅に必要な品と資金が入っています。持ってお行きなさい」
「ハルエラ様…ですがそれではハルエラ様にまでご迷惑が!!」

受け取りをためらうディオに対して、ハルエラはまるで我が子をあやすようにそっと頭を撫でて優しく言った。

「あなたがその娘を信じているように、私もあなたを信じているのよ、ディオ」

ディオはそれ以上何も言えなくなった。そして黙ってリエルからカバンを受け取る。ハルエラはリエルに命じて、今度は自分の杖を取ってこさせる。

「今からあなた達を城の北側に魔法を使って送ります。追っ手がかかるでしょうが、うまくやれば逃げ
切れるはずです」
「ハルエラ様…本当にありがとうございます」

ディオは嬉しかった。本当の親ではない彼女がここまで彼のことを気遣ってくれることが。
ハルエラは詠唱を始める。ディオはキリカと共に詠唱が終わるのを待った。やがてハルエラが詠唱の最後の一文を読み終えた。

「…ワープポータルッ!!」

その瞬間、床に大きな魔方陣が描かれ、そこから垂直に光のカーテンがあふれ出す。
別れの前にハルエラが再度二人に歩み寄った。

「あなたが8年前にこの城に来てから、今の今まであなたのことを本当の子供のように思っていました。
ディオ、どうか気をつけて」
「ハルエラ様…」

うっすら涙を浮かべたディオを、ハルエラが強く抱きしめる。ハルエラも泣いていた。ディオは彼女の腕の中で、母親のような温かさを感じた。
ディオから離れた後、ハルエラはキリカにも歩み寄った。

「キリカさん、だったわね。あなたにこんなにもひどい仕打ちをした私達を許してちょうだい」
「そんな…大司祭様が謝る必要なんて…」
「ディオと同じように、私もあなたのことを信じています。彼と共にお行きなさい」
「はい、ありがとうございます」

その時、部屋の外で声がした。

「手分けして探せ!」

おそらく二人を探している兵士達の声だろう。ハルエラは二人を急かした。

「名残惜しいですが、時間がありません。さあ、行きなさい!」
「はい…!!」

ディオはハルエラの手を握る。キリカも、彼と強く手を握った。

「ハルエラ様、どうかお元気で!!リエル、ハルエラ様のこと、頼んだぞ!!」

ハルエラは頷いた。リエルに至っては完全に泣いていた。
そして、ディオはキリカと共に、魔方陣の中へ一歩足を踏み入れた。
その瞬間、二人をまばゆいばかりの光が包み込む。

その後しばらくして兵士達がハルエラの部屋のドアをこじ開けて中に入ってきたときには、もう彼らの姿はそこにはなく、無事二人を送り届けたハルエラとリエルだけがお互いに顔を見合わせて小さく頷いた。




二人が出た先は、城の北側に広がる森林への入り口だった。光が完全に消え、周りを見回すが今のところ兵士の姿は見えない。

「さて、城を抜け出したのはいいが…どこから探したもんかな」

処刑が迫っていることを理由に彼女を連れ出したディオだが、はっきりいってどこにいっていいのかまったく見当もつかなかった。だが、キリカが何か確信を持っているかのようにその名を口にした。

「時計塔の町、アルデバラン…」
「え…?」
「私はその町の近くで育て親に発見されたそうです。私がずっとこれまで暮らしていたのも、その町の近くの小さな小屋なんです」
「じゃあ、例の現場もその近くにあるかもしれないってことか」
「そこまではわかりません。ですが、そこに何かがあるのは事実だと思います」

まだ完全にそうと決まったわけではないが、目標となる場所が決まってディオは少し安心した。

「アルデバランに行くには、まずはこの森を越えないといけないな。足場が悪いところもあると思うが、大丈夫か?」

彼女のことを気遣うディオだったが、彼女は大きく頷いた。

「あなたが信じてくれるなら、私は大丈夫」
「よし、なら行こう」

ディオは先立って森へと足を踏み入れる。
二人の旅はここから始まるのだ。


(第4話に続く)




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