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RO.S.S 『Dark Cage』 第1話
2006/09/17(Sun)
さてさて、ながらく掲載が遅れていましたが、以前予告した中編RO.S.Sが完成いたしましたので今日より連載を開始します。


連載ペースはこちらの事情により、今週と来週は1週間に1話のペース。その後は1週間に2話か3話のペースで載せていきます。なお、今回は全13話となっています。今回のキーワードは『悪魔』『刻印』です。


内容的には少しシリアス路線気味かな?とにもかくにも、もしお暇な方は時間潰しにでもどうぞ。


それでは、第1話公開です。



RO.S.S 『Dark Cage』 第1話:幽閉

『こ…より…プロ……クト……を開…す…』
『魔力…出……。実…体の…、…常』
『捕…したモ……タ……験……に……』

体の奥底でかすかに声が聞こえる。だがノイズが走り、正確には聞き取れない。
ここに連れてこられてからも彼女は毎晩のようにこの声を耳にした。
そして最後までそれが何だかわからないまま、彼女は再び意識を失っていく…。




一週間前の夕方、プロンテラ城はちょっとした騒ぎになった。
プロンテラ城の前に一台の馬車が止まる。それまで城の前でさえずっていた鳥達が慌てて飛び立ち、一瞬の静寂が訪れる。馬車からまず降りたったのは国王トリスタン3世直属の騎士団第二大隊隊長、ヴェルナー。そしてその後に部下であり副隊長でもあるマリーが、一人の女性とともに降りてそれに続く。その女性の手首には鎖の手錠がかけられていた。
ヴェルナーは城門の前まで進むと、迎えにでてきた兵士達に向かって叫んだ。

「皆の者、道をあけよ!」

兵士達はそそくさと道を開け、ヴェルナーとマリーは女性を連れて城の中へと入っていく。そして彼らはまっすぐ国王の間へと向かった。途中すれ違う者達も、皆視線はヴェルナー達と、彼らが連れている女性に向いた。
国王の間ではトリスタン3世が二人を迎え入れる。

「ヴェルナー、ご苦労だった」
「はっ!!仰せの通り、魔女を捕らえてまいりました」

そういって、ヴェルナーは女性の背中を押して国王の前へと突き出した。
女性はよろけてその場に倒れる。

「この女が…例の魔女か…?」

トリスタンは突き出された女性を玉座から見下ろす。女性は無言のまま、ただうつむいている。

「はい。アルデバラン近辺の山小屋に隠れ住んでいたのを発見しました」
「よくやった。流石は我が騎士団のエースだ」

トリスタンの言葉に、ヴェルナーは顔色一つ変えなかった。
国王の言うとおり、ヴェルナーは国王直属の騎士団の中では1,2を争う腕を持っている。部下からの信頼も厚く、騎士団の大隊を率いるにはふさわしい男だ。
すると、トリスタンが少し声のトーンを落として尋ねた。

「ところで…この女があの魔女ならば、例の件は…?」
「今の所、それらしき兆候は見られません」

今度はマリーが答える。彼女もまた腕の立つ剣士で、まだ年も若く、兵士達からの人気も高い。

「6年前のあの事件以来、魔女の姿を目撃したものはいません。…ですが、彼女がその魔女であるのは間違いありません」
「そうか…この女が…」

陽が小さな天窓からさしこみ、その場にいる者達を一瞬照らし出すが、すぐにまた影が彼らを包み込む。

「ともかく、一刻も早くこの罪人を処刑したほうがよいと思われます」

ヴェルナーの冷酷な口調。しかし、トリスタンは迷っているようだった。

「むぅ、しかし、彼女が本当にあの事件の魔女だとしても、彼女自身がやったという証拠はないのではないか」
「何をおっしゃるのです!あの状況でこの女以外の誰が犯人だといえるのですか!それに、証拠ならあります!」

ヴェルナーがさらに口調を強める。マリーがとめにかかるが、この男はその強すぎる正義感ゆえに、一度こうなったらとめられない。

「事は一刻を争います。もし悠長に構えていて…」
「わかった、わかった」

トリスタンもヴェルナーの性格は把握している。おそらく、何を言ってもヴェルナーは主張を通すだろうということがわかっていた。

「だが今は城内の者達も魔女の処遇に注目しておる。詳しい調査もなしにこんな短期間で処刑するとなれば、反対派の者達が黙ってはおるまい」
「しかし国王…!」
「特にハルエラは厳しく対応してくるぞ。そうなれば教会関係者をすべて敵に回すことになる」

ヴェルナーはそれ以上何も言うことができなかった。聖騎士団の象徴的存在であり、大司祭でもあるハルエラを敵に回せば、彼自身の地位が危ない。

「ですが、このまま放っておけば…」
「わかっておる。だからこそ、少し時間を置くのだ。とりあえずこれから一週間、彼女を牢にいれておけ。そして一週間後の朝、彼女を処刑する。もちろん民衆には非公開で、だ。時間を置いて調査をしたということにすれば、反対派も強くは出てこれまい」
「わかりました…」

ヴェルナーは渋々承諾した。そして後ろで待機していたマリーに不機嫌さを隠しきれない声で命じた。

「この魔女を地下牢にぶち込んでおけ!」

マリーは敬礼すると、うつむいたままの女性の腕を抱え上げ、彼女を連れて王の間を後にする。すると、残ったヴェルナーにトリスタンが歩み寄った。そして耳元で小さくささやく。

「常に監視を怠るな。もしあの女が怪しい動きを見せたら…そのときは処分はお前に一任する」
「はっ、こころえました」

ヴェルナーにまた冷酷な口調が戻った。





「ここに入ってください」

マリーはヴェルナーとは対照的な、少しおっとりとした口調で魔女と呼ばれた女性に言った。女性は抵抗することなく牢の中へと入る。それを確認して、マリーは外から鍵をかけた。
鍵をかけている最中。マリーはふと疑問に思う。

(本当に彼女が魔女なのかしら…?)

だが、彼女はそこで考えるのをやめた。マリーは第二大隊副隊長というポジションについてはいるが、それでもただの兵士にすぎない。彼女はただ、ヴェルナーの指示に従えばいいのだ。彼女が口を挟む余地はないのである。

近くで待機していた兵士を呼びつけ、マリーは命じた。

「今後交代で24時間彼女を見張りなさい。何かあればすぐに知らせるように」
「はっ!!」

敬礼する兵士の横を通って、マリーは上の階へとあがっていく。
地下牢は外に比べて肌寒い。その寒さよりも一層冷たい鉄格子の奥で、魔女と呼ばれた女性はただ物悲しそうにうつむいたまま、沈黙を保っていた。





「ハルエラ様、ハルエラ様ー!!」

魔女が幽閉されてからちょうど一週間後の昼前に、大司祭ハルエラの部屋へ一人の兵士が駆け込んできた。それまで机で書類に目を通していたハルエラは大声を上げつつ入ってきた男にそれほど驚いた様子も見せることなく、眼鏡を外して立ち上がった。40歳を少し過ぎたくらいの、非常におだやかな女性である。その人柄の良さから、城内はもとより、教会関係者や町の住民からの人気も高い。

「まぁ、ディオ。相変わらず元気がいいわね。それで、今日はどうしたの?」
「見てください!ハルエラ様宛にこんなにたくさんの手紙が届いてますよ」

ディオと呼ばれた兵士は腕にたくさんの手紙を抱えていた。

「あらあら、それじゃあ早速読ませて頂戴」

ハルエラはディオからいくつか手紙を受け取ると、封をきって中を読み始める。読んでいる最中もハルエラはずっとにこやかな表情をしていた。

「この間訪問した孤児院の子供達からだわ」
「何が書いてあるんですか?」
「お礼の言葉よ。嬉しい限りだわ」

まだ幼い子供が必死に書いた手紙だ。字がところどころ曲がったりかすれていたりして読みづらいのだが、一生懸命に書いた様子が思い浮かばれる。

「子供達も、ハルエラ様が来てくださったことがよっぽど嬉しかったんですよ」

横から侍女のリエルが言った。ディオもそれに頷く。

「私ができることには限りがあるけれど、それでも喜んでくれる人々がいると思うと嬉しい限りだわ。特に子供達の笑顔は」

そう言いながら、ハルエラはディオの顔を見た。

「そういえば…あなたが私の元に来たのもちょうどこの孤児院の子供達と同じ年頃だったわね」

ハルエラはディオの頭をなでた。彼女のつけた香水がほのかに香ってくる。ディオは恥ずかしそうにハルエラの手から逃れる。

「俺ももう21です。今じゃ聖騎士団の一員なんですよ?子供扱いはやめてください」
「剣の腕前はまだまだ半人前だけどね」

横から茶々を入れたリエルをディオが追い掛け回す。そんな二人の様子に、ハルエラは思わず声を上げて笑った。

「本当にあなたがもう21になったのね。月日が過ぎるのは早いこと」
「今の俺があるのは…ハルエラ様のおかげです」

それまでリエルを追い掛け回していたディオが立ち止まる。そして少しだけ暗い表情を見せた。それを察したのか、ハルエラが再び彼のそばにより、頭をなでる。

「ごめんなさい、あなたにはつらいことを思い出させてしまったわね」
「よしてください、ハルエラ様!ハルエラ様が謝る必要なんてありませんよ!それに…」
「それに…?」

ディオの表情が再び明るくなる。

「今の俺は、もうあの頃の俺じゃないですから!」
「そう…あなたは強いわね」

ハルエラは安心したようだった。
と、その時部屋のドアが開いた。そして一人の兵士が入ってくる。

「失礼します。ディオ=カルナスはここにきているでしょうか」
「あ、ケイン。どうかしたのか?」

入ってきたのはディオの同僚のケインだった。

「どうかしたのか、じゃねえだろ!今日の午後の当番、お前だぞ!」
「当番?」

ケインは呆れているようだった。

「まぁまぁ、ケイン。紅茶でもいかが?」

ハルエラがリエルを通じて紅茶をすすめるが、ケインは首を横に振った。

「いえ、結構です。それより…今日の魔女の見張り当番、お前だろ!」
「あ…」

ディオも思い出したようだった。一週間前にこの城へ連行されてきた『魔女』の見張り当番に当たっていたのだ。

「ケイン、もう少し声を落としなさい。大声で話す内容ではありませんよ」
「し、失礼しました」

ハルエラの顔が突然曇る。彼女は『魔女』の幽閉に反対する者の一人で、代表的な存在なのだ。

この『魔女』のことをディオはよく知らなかった。何かの大きな罪を犯したらしいということは聞いていたのだが、それが何なのか上からは聞かされていなかった。

彼は思い切ってハルエラに尋ねてみた。

「ハルエラ様、その『魔女』は一体どのような罪を犯したのですか?」

ハルエラは彼の質問にすぐには答えなかった。だが、しばらくして自分の席に戻り、机にひじをついて祈るように目を閉じた。そしてその状態のまま、ケインに出て行くように言った。ケインは一礼して部屋を出て行く。

「とにかく、そこに座りなさい。リエル、ディオに紅茶を。あなたも一緒に座りなさい。」

言われたとおり、ディオは応接間のソファに座った。すぐにリエルが彼の前に紅茶の入ったティーカップを運んできた。そして彼女自身も彼の隣に座った。

それを確認してから、ハルエラがゆっくりと口を開いた。

「…今地下牢に幽閉されている『魔女』と呼ばれるあの娘は、6年前のある事件で十数人もの人間を殺害したと言われています」
「十数人も!?」
「あくまでも噂です。調査にあたった騎士団は証拠もあると言っていますが、私には未だに信じられません」

ハルエラはため息をついた。実際彼女は何度も抗議したが、未だに『魔女』は幽閉されたままである。というのも、彼女が無実である証拠が何もないからだ。

「ですがハルエラ様、たしかあのお方はまだ20歳前後でしょう?6年前ならまだ15歳前後、そんな子供に十数人も人が殺せるのでしょうか」

リエルも腑に落ちていないようだった。ハルエラもそれに頷く。

「ええ、私もそこが疑問でなりません。しかし、当時の状況を知る者の話では、殺された十数人はいずれも斬殺されていて、その場には返り血に染まった彼女がいたそうです」
「待ってください。それならなぜその時に彼女を捕まえることができなかったのですか?それに、その少女が彼女である証拠は…」

ディオの質問はもっともなものだった。だが、ハルエラは軽く首を横に振る。

「それはわかりません。おそらく何らかの手段でその場から逃げたのだと思いますが…。わかっているのは唯一つ、その時の少女の肩にはある刻印が刻まれていたそうです」
「刻印?」

ディオとリエルは、お互い顔を見合わせる。

「私も彼女に会いましたが、確かに彼女の肩にはその刻印が刻まれていました。おそらく騎士団のいう証拠もその刻印のことでしょう。しかし、それだけを理由に幽閉するのは間違っています!」

悔しそうな表情を見せるハルエラ。彼女の手はかすかに震えていた。

「ともかく、ディオ。あなたもこれから彼女に会うことになると思いますが、決して偏見を持って接してはなりません。いいですね?」
「はい」

ディオは立ち上がった。そろそろ見張りの交代の時間なのだ。ディオはハルエラに一礼すると彼女の部屋を出た。

(第2話につづく)





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