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プリマヴェーラ
2006/03/13(Mon)
今回は私のメインとしている職業、ダンサー(ジプシー?)についてのフィクションです。ちなみに、マイキャラがモデルってわけじゃないです。今回も1話完結のお話。今までとは少し趣向が違うかも。


プリマヴェーラ

「「私、将来絶対にダンサーになるんだから!」」


幼い頃、彼女が僕に向かっていったあの言葉。そういって彼女が僕の目の前で踊ってみせたのを、そして不器用に踊る彼女を見て笑いがとまらなかったのを、僕は今でもはっきりと覚えている。

あれはまだ僕らがノービスだった頃だ。僕と彼女は二人で毎日修行をしていた。彼女の両親はともにプリーストだったが、彼女はアーチャーになるといっていた。理由を聞くと返ってきたのがあの言葉だ。ソードマン志望の僕にとっては、本心をいえば彼女にアコライトになって支援をしてもらいたかったりしたのだが。

当然ながら、両親は猛反対したらしい。だが、「私はダンスでたくさんの人を笑顔にしたいの!」と彼女は自分の気持ちを変えることはなかった。決して踊りがうまいわけではないのだけれど。

僕らはその後、同じ日にそれぞれソードマンとアーチャーに転職した。結局彼女は両親の反対を押し切る形となったようだ。僕は彼女とともに二次職まで頑張るつもりでいた。

ところがその翌日、彼女は僕に別れをつげた。

彼女の両親が巡礼の旅に出かけるのについていかなければならないからだといわれた。あまりに突然の別れの言葉に、僕はどう返事していいのかわからなかった。仕方なく、僕は彼女が両親の待つ馬車へと乗り込むのを黙って見送るしかなかった。

だが、彼女は最後まで笑顔のまま、別れ際に僕に向かっていった。



「「私がダンサーになったら、一番最初にあなたにダンスを見せてあげるからね!」」



僕はそれを聞いて、ようやく笑顔になることができた。彼女との別れは寂しかったけれど、僕は彼女がダンサーになってまた会える日を待つ決心がついた。よくある言葉、よくある展開だが、今の僕にとっては何よりも嬉しい言葉だった。

そして一週間前に、彼女から数カ月ぶりの手紙がきた。念願かなって、つい先日ようやくダンサーになれたらしい。そして、首都に戻ってくるから会おうという内容だった。

そして今日がその約束の日。僕は待ち合わせ場所である街のはずれの広場に向かった。

彼女はそこに立っていた。手紙にあったとおり、そして彼女の幼い頃からの夢であった、ダンサーの姿で。

僕らは久しぶりの再会にお互い握手し、抱き合って喜んだ。そして、それがすんだあと、彼女が私に向かってたずねた。



「ねぇ、あなたと別れるときに私が言ったコト、覚えてる?」



忘れるはずもない。僕はそれを待ち望んでいたのだから。僕はうなづき、そして彼女の前に座り、拍手を送った。彼女はそれを見て微笑み、そして一呼吸おいて...

………

彼女のダンスははっきりいって型もメチャクチャだし、動きも不自然で、お世辞にも上手いとはいえなかった。

でも…僕は周りから音が消えていくように思えた。彼女のダンスは上手くはないけれど、なぜか惹きつけられる、そんな感じがした。まだ成り立てのかけだしだけれど、彼女は自分の夢をかなえ、そして今も追い続けている。人々を笑顔にしたい、そんな彼女のダンスに対する思いは形式や技術をも上回る。




彼女が今踊れるのは、『自分勝手なダンス』のみ。

でも、彼女は今でも十分立派なダンサーだと、僕は思っている。




[『プリマヴェーラ』 完]
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