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The Ghost Lady -風に消えた修道女- 前編
2006/03/13(Mon)
記念すべき第1回のショートストーリーは、クリスマスを目前にした日のプロンテラで起こった出来事についてのお話です。本来、クリスマスにブログイベントの一環として企画していたクエスト型イベントのシナリオだったものなんですが、仕事やらなんやらで忙しくてとても実行できそうになかったので、ショートストーリーにして公開します。ちなみにフィクションです。





The Ghost Lady -風に消えた修道女- 前編


ルーンミッドガルドにも冬がやってきた。首都プロンテラでは人々がクリスマスに向けていそいそと準備を始めている。街の中央広場には大きなツリーが設置され、人々は自らの願いを託して飾りつけをする。

私はしがない冒険者の一人。仲間とともに日々このルーンミッドガルドを探索している。そんな私は中央広場にツリーが設置されて以来、冒険に出かけるときは必ずそのツリーの前を通って南門へ向かうようにしている。別にこれといってたいした理由はないのだけれど、人々の思いが様々な形で飾り付けられたその大きなツリーを見るのが好きで、私の日課となっていた。

そんなある日、いつものようにツリーの前までやってくると、やはりあの人がたたずんでいた。ツリーが設置されて以来、私がいつその前を通っても同じ場所でずっとたたずんでいる一人の修道女(プリースト)。特に何かをするわけでもなく、誰と話すわけでもなく、ただただ静かに遠くを見つめているようだった。周りの人々はそんな彼女のことを気にかけることはなく、彼女の前を通り過ぎていくだけだった。

私もいつもなら素通りするのだが、もう1週間以上もこの光景を目にしている身としてはどうしても我慢しきれなくて、おそるおそる彼女に話しかけてみた。

すると彼女は少し驚いたようで、ハッと私のほうを見た。彼女の顔を間近でみるとわかるその肌の白さ。まるで雪のようだ。私は彼女になぜ毎日ここでたたずんでいるのか、その訳を聞いてみた。

「ある人を待っています。」彼女はそういった。その人は彼女の恋人らしい。

しかし、なぜ1週間以上も待ち続けているのだろうか。少なくとも私は彼女がその恋人と一緒にいるところを見たことはないし、彼女自身も「まだ会えていません」と言った。私は自分から会いにいったらどうかと勧めたが、彼女は首を横にふった。

理由を聞きたかったが、これ以上つっこむのはなんだか悪い気がして、私は彼女と別れることにした。だが、別れる間際、彼女は私に頼んだ。「もしあの人を見かけたら、伝えてください。イヴの夜に、この場所で待っている...と」。

私は軽くうなづいて、彼女と別れた。そして南門のほうへ向かって歩き出したのだが、ふと後ろを振り返ると、ついさっきまで話していた彼女の姿はどこにも見当たらなかった。

クリスマスイヴは明日。私は彼女の恋人を見つけることができるのだろうか。





次の日、私は朝から彼女の恋人探しを始めた。彼女から相手の名前と容姿は聞いていたが、はたしてたくさんの人々がひしめくこのプロンテラで見つけることができるのだろうか。私は不安を残しつつも街中を歩き回った。

冬の朝の空気は透き通るほど冷たく、とりわけ今日は風が強い。道端では主婦達が皆寒そうに体をふるわせつつも、朝のおしゃべりを楽しんでいる。私は街の人々に相手のことについて尋ねまわった。しかし、お昼近くになっても一向に手がかりはつかめなかった。

そのうち、探している私自身もなんだか馬鹿らしくなってくる。そもそも、見ず知らずの彼女のためになぜ私がここまでしているのだろう。もうやめようかとも思ったが、なぜか足は止まらない。昨日の別れ際に彼女が言ったこと、そしてその時の彼女の表情を思い出すと、なんとなく見つけてあげたいという気持ちがこみ上げる。私もつくづくお人よしだ。

すると、お昼もすぎたある時、私は一つの情報を手に入れた。情報をくれた人の言う通りの場所へ向かうと、たしかに彼女の恋人らしい男性がいた。恐る恐る近づき、そして彼に向かって話しかけると、当然のことながら相手は「誰?」みたいなリアクションをとった。そこで私は自分のことと、そして昨日の出来事、彼女のことを彼に話し始めた。これで彼女の依頼も果たせる。私はそう思っていた。

ところが、話をすべて聞き終える前に、突然彼は怒り出した。「ふざけるな!」と私を怒鳴りつける。これには私も驚いて言葉が出なかった。その後、私が何を言っても彼は聞こうとせず、それどころか「もう帰ってくれ!」と私を追い返そうとした。なぜ私が怒鳴られなければならないのだろう。私は彼女から託されたことを伝えただけだ。感謝はされど、怒られる筋合いはない。だが、彼はもはや聞く耳を持たなかった。

ついには彼は私に背をむけ、大通りの方へと歩き出した。私は最後に彼の背中めがけて叫んだ。

『イヴの夜、あの人は約束の場所で待っていますから!』...と。

彼は答えることはなく、そのまま人ごみの中へと消えていってしまった。私はなんだか悔しくなって、ぎゅっと拳を握り締めた。どうして彼は私の言うことを聞いてくれないのだろう。ちゃんと彼女自身から聞いたことなのに...

まさか...私の頭に一つの考えがよぎる。彼女が私をだましたのだろうか。本当は彼は彼女の恋人でもなんでもなくて、ただ単に暇つぶしに私をだまして遊んでいただけなのだろうか。

仕方なく私は帰路についた。陽はもう傾きはじめており、辺りはオレンジ色に染まりつつある。中央通りでは人の往来がいつも以上に多い。今日はクリスマス・イヴ、人々は皆、家の外にでて聖なる夜を祝うのだ。

だが、私はそんな気分にはなれない...

風が強く吹きぬける。私の彼女に対する清純で一途なイメージを、そして私自身の心をもかき消してしまうくらいに。
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