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RO.S.S『電子の絆』
2006/05/21(Sun)
さて、予告しましたとおり、久々のROショートストーリーです。今回はROというよりも、その中の人のお話。ちなみにフィクションです。


ROショートストーリー『電子の絆』


俺はしがない漫画家だ。いや、正確にいえばまだプロの漫画家じゃない。漫画家の卵といったところだろうか。

小さい頃から自分は漫画家になりたいと思っていたし、今実際にこうして修行している。だが職業柄、両親には随分反対された。実を言うと、未だに認めてもらっていない。一人で田舎を飛び出し、今は都会の狭いアパートで一人暮らしをしている。両親とは家を出てから一度も連絡を取っていない。

そもそも、俺は小さい頃からずっと孤独だった。兄弟もいなかったし、学校でもそれほど友人が多いほうではなかった。両親は共働きだったから家にはいつも俺一人だ。そして家に帰ってくればくるで、勉強しろとしか言わなかった。

友人と遊ぶことも少なく、家に一人でいるときはいつも漫画を読んでいた。多分俺が漫画家になりたいと思ったのもこの影響が大きい。そして高校を卒業してすぐ、俺は家を出て、今に至る。

親にも認めてもらわないまま出てきたものだから、何もかも自分でやらなくてはいけない。だが、俺は一人で生きていけると思っていた。バイトで金を稼いで、好きな漫画をかけたらそれでいいと思っていた。実際一人で生きてきたんだ。

あいつに出会うまでは。




あいつに出会ったのは今も俺が続けているラグナロクオンラインというゲームの世界だ。今流行のMMORPGというやつで、ネットの世界を通じて日本全国、あるいは世界のプレイヤーと交流を深められるというのが売りだ。

もっとも、俺はそんなMMORPGでもほとんどソロ狩りしかしない。結局現実世界と一緒で、この世界でも孤独に生きていた。それでも良いと思ってた。別にそこまでこのゲームにのめりこんでいたわけじゃないし、漫画を描く間の息抜き程度で始めただけだから、特に不都合もない。

だが、ある日俺はその世界でふとしたことからPTを組むことになった。別に自分から組もうとしたわけじゃなくて、成り行きってやつだ。俺が一人で狩りをしていたら敵が沸いて襲われて死んだところをたまたま通りがかったあいつが起こしてくれて、お互いソロだときついからってことでそのままPTを組んで狩ることになっただけだ。

狩りが終わって清算を終えて、俺が立ち去ろうとしたら、そいつが俺にきいてきた。


『友達登録させてもらってもいいですか?』


別に今回の狩りでそこまで仲良くなったつもりは俺にはなかったが、無理に断る必要もないし、okした。どうせしばらくすれば忘れるだろうと思っていたんだ。

だが、その日からそいつは俺にちょくちょく連絡をよこすようになった。最初のうちは正直な所うっとおしかったが、しばらくして俺はそいつとよく狩りをしたり雑談したりするようになった。

信頼をおいたというわけでもないが、漫画を書く間の息抜きにはちょうどよかった。考えてみれば、学校の友人や親ともこれほど話をしたことはないというくらい色々話した気がする。

いつの間にか、自分が漫画家を目指しているという話や、大体どの辺に住んでいるとか、そんな話までするようになった。向こうも自分の話をしてくれたし、そいつはまだ高校生で、俺のいる隣の県に住んでいるということも教えてくれた。

俺とそいつは現実世界でも一度会った。いわゆるOFF会というやつだ。OFF会といっても俺がよくいく店で二人で夕飯を食べただけだが。正直なぜこいつとここまで付き合えるようになったのか今でもよくわからない。だが、今までずっと一人で生きてきた俺にとって、こいつの存在は何か新鮮に感じた、そんな気がしただけだ。




そんな何かしら精神的に満たされていたある日、俺はバイト帰りに事故にあった。一時は意識不明に陥っていたが、幸いにも命は取り留めた。だが、しばらく入院を余儀なくされた。

病室で、俺はまた孤独に見舞われた。個室だったから周りには他の患者はいないし、部屋を訪れるのは定期的に見回りにくる看護婦だけだ。

こっちにきてからもほとんど友人というものを作らなかった自分には、見舞い客もいなかった。毎日毎日、たった一人で静寂に包まれた病室で寝たきりの生活だ。

最初、もしかしたら田舎から事故の話を聞いた両親がかけつけてくれるんじゃないかなんて甘い考えも持っていた。だが、入院から2週間経っても両親はきてくれなかった。親戚も、友人も、バイト先の先輩も。

看護婦が部屋にいない時、俺は毛布にくるまってひっそりと泣いた。孤独をこれほど寂しいと感じたことは今までなかった。

これならいっそ、事故で死んでしまったほうがよかったのかもしれないなんて思ったこともあった。

ところが、入院から3週間と3日経って、不意に部屋のドアをノックする音がした。

入ってきたのは看護婦だった。俺は顔をそむけて、できるだけそいつをみないようにした。唯一部屋を訪れるこの看護婦も、言うことは事務的な言葉ばかりだ。結局俺が孤独であることに変わりはない。

だがその看護婦は俺に言った。


『今日は○○さんに面会希望の方がきてますよ』


耳を疑った。俺に面会?今さら誰が?

そのあと看護婦が出て行ってすぐに、再びドアが開いた。

俺は今度は自分の目を疑った。

そこに立っていたのは、紛れもなく、あの世界で出会ったあいつだったんだ。

もちろん俺はそいつに自分が事故にあって入院していることを知らせていない。入院してからというもの、ネットもしていないし、この3週間そいつとは一度も向こうの世界で顔をあわせていなかったんだ。

なのに、なんでこいつがここにいる?

そいつは俺の寝ているベッドの横まで来ると、小さな声で俺に訊いた。


『…怪我のほう、大丈夫ですか?』


俺は何もいえないまま、ただ小さく頷いた。するとそいつは今度は手に持っていたかごを俺に見せた。


『俺、こづかい少ないんで大したものじゃないんですけど…よかったら食べてください』


かごの中にはたくさんの果物が入っていた。少なく見ても3000円くらいはするだろう。

そのときになって俺は何とか口を開いて、なぜ俺がここに入院しているのがわかったのかを訊いた。

そいつはやはり小さな声で答えた。


『3週間前から急に××さん(俺の向こうの世界でのキャラクター名)が繋がなくなったから、心配になって...。前に会ったときに行った店の人に聞いたらここに入院したらしいって聞いたんです。……あの、俺、こなかったほうがよかったですか?』


今まで俺は人前で泣いたことはなかったが、そいつの答えを聞き終えたときにはなぜか泣き出してしまった。それは孤独に対する寂しさからきたものではなくて、初めて流した嬉し涙だった。




しばらくして俺は怪我も治り、また元の生活を始めた。今でも俺は漫画家になるための修行を続けているし、向こうの世界であいつとともに冒険もしている。

俺は今回の事故を通じて、少し自分を見つめなおせた気がする。一重にそれはあいつのおかげだ。多分あの日あいつが見舞いに来てくれなかったら、俺は漫画家になることを諦めていたかもしれないし、向こうの世界にいくことも二度となかっただろう。

今でも俺は孤独なのかもしれない。相変わらず両親から連絡もないし、友人も少ないままだ。だが俺は今までにはなかった、大事な存在を手に入れたんだ。

俺にとってあいつという存在は家族のようなものだ。血の繋がりなんて関係ない。電子の世界で、俺とあいつは繋がっている。向こうはそこまで大げさに考えていないかもしれないけど。

ネトゲというのは色々と問題も多い。だが、そのネトゲを通じて俺はあいつと出会い、大事なものを見つけられた。この先、もしあいつとケンカして別れても、あるいはラグナロクオンラインのサービスが終了して二度と会えなくなっても、俺はあいつのことを忘れないでいようと思う。

そしてあいつのことを忘れない限り、俺は何でもやっていける気がする。たとえ孤独な生活が続いても、きっと上手くやっていける。ネットの世界を通じて、俺は現実世界を生き抜くことができるんだ。

世間はネットやネトゲを時に批判する。別に俺は批判する人間が間違っているとも思わない。そいつらにとっちゃそれが正しい考えだし、真実なのだろうから。



けど、これが俺の生き方だ。


[ROショートストーリー 『電子の絆』 完]




<あとがきみたいなもの>
今回は完全にリアルの話になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。

話の内容自体はフィクションなんですが、書いてあること自体は私の意見をなるべく反映させたつもりです。もちろんこんなシチュエーションはありえないんですが、私がROを続ける理由はやはりギルメンや知り合いとの繋がりにあると思います。

ネトゲは時にマスコミを初めとする外部者に批判されることも多いです。しかし、ネトゲを通じて得られるものというのも少なくないと私は思っています。結局その人の感じ方、考え方次第なんです。否定的に考えている人間にしてみれば、ネトゲに限らず何も得られるものはありません。

私は批評家・評論家と呼ばれる職業があまり好きではありません。なぜなら、その人がどう思っていようと、結局最後は自分がどう考えるか、これに尽きるからです。極論的な部分もありますが、たとえばある映画を有名な批評家が絶賛したとしても、自分がそれを見てまったく面白さを感じなかったら、その映画は自分にとって価値のないものになります。

他人の影響やアドバイスを受けるのは悪いことではありません。しかし、最終的に物事を行うのは自分です。だから、自分の意思をしっかりと持つことが大事だと思います。






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コメント
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ぅー泣いちゃったぁ。・゜゜・(*/ロ\*)・゜゜・。
うまく感想言えないけど
いいお話だったぉ
また書いてほしーなぁー
2006/05/25 16:34  | URL | いづみ #x2z8ribU[ 編集]
- 管理人のみ閲覧できます -
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006/05/25 17:21  | | #[ 編集]
-  -
>いづみさん

文章へたくそですが、こんな物語でも読んでいただければ幸いです。


>-さん

感想ありがとうございます。

そちらも大変そうですが、お互い頑張りましょう。
2006/05/25 23:08  | URL | 風雪 #Q9J.FUXY[ 編集]
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